【働く天使パパインタビュー】#2 望月大河さん

SNSなどではなかなかシェアされない「天使パパ」の想い。言葉にはしないけれど、パパも悩み、わが子やパートナーであるママのことを想い、そして気づきを得て歩んでいます。そんな天使パパの物語をiKizukuがインタビューしてご紹介します。

お二人目は、働く天使ママインタビューのトップバッターを飾って下さったまきさんのパートナー、望月大河さんです。(まきさんのインタビュー記事はコチラ


《#2 望月大河さん》


【プロフィール】

望月大河(埼玉県在住/29歳)

・お仕事:パーソナルトレーナー/個人に対してマンツーマン運動指導

・雇用形態:フリーランス

・ご経験:2020 年 4 月 4 日、生後約 11 時間 での新生児死

・Instagramアカウント:mochizuki_t.m.r.o.n



<お気持ちについて>


1. ご経験されたときのお気持ちを教えて下さい。


正直詳しくは覚えていないのですが、とにかく悲しく、信じがたい心境でした。受け入れられていないような、フワフワした 気持ちだったと思います。 妊娠中も出産後も何も問題はなかったのに、何故こんなことになった?と思いました。 産まれて11時間でお別れだったので思い出もなく、今も正直立ち直っているとは言えないです。



2. ご経験後、精神的・身体的な影響はありましたか?


出生届と死亡届を一緒に出すことや、お葬式、火葬など、形式的なタイミングで精神的に苦しく涙が出ていました。現実を突きつけられるのがしんどかったです。



3. お気持ちや悩みを誰かに話したり相談したりしましたか?


1度目の緊急事態宣言中であり完全ステイホームでしたので、妻と共にとにかく悲しみました。どう考えても一番苦しいのは妻ですので、少しでも共有したかったです。また、長男がおりましたので、長男の無邪気さに救われる毎日でした。



4. パートナーに対してどのような声掛けや対応をされましたか?またパートナーからはどのような声掛けや対応がありましたか?


特に声掛けはしていません。泣きたいときに涙が枯れるまで泣いてもらいました。とに かく一緒に過ごしました。妻はとても前向きだったように思います。ランニングに誘ってくれたり、日常を精一杯過ご してくれていると感じていました。



5.男性は女性に比べて感情を表出したり、相談したり、共感を求めることをしない、と言われることがあります。それを温度差だと感じて悩む天使ママも多いです。ご自身はどうでしたか?それについてどう思われますか?


その通りだと思います。私個人としては、男性は現実から目を背けたいんだと考えています。考えたって仕方がない、時間は止まってはくれないと考えていると思います。さらに は、自己表現が極めて下手であり、男性はとても不器用な生き物だと考えます。これはあく までも私個人の考えですが、自分をさらけ出すことに抵抗があるのではと思います。

しかし、だからと言って妻のことを考えていないわけではありません。今朝の妻の様子の ことが気になってその日の仕事に集中できなかったりしていると思います。 私も、妻にはあまり相談したりはしませんが、何よりも大切であることには間違いがあり ません。普段からのコミュニケーションの中で夫婦関係を構築していくわけで、天使ママ・天使パパになったから温度差が出るというのはあまり感じていません。

それぞれの愛の形が あるように、天使ママにもそれぞれの気持ちがあり、天使パパにもそれぞれの気持ちがありますが、天使ママが天使パパからのメッセージを求めているのであれば、天使パパは応える べきですだと思いますし、天使パパはそれに気付くべきだと思います。

妻からは、温度差を感じなかったと聞いています。妻には感情をそこそこ出せていたのではないかと思います。男性は仕事しないといけない、家庭を守るという意識があり、感情を出すなと自分に言い聞かせているのかもしれません。奥さんが第一だから、奥さんが悲しい時はその悲しみの感情を出してあげる。側にいてあげたいと思う。男性がわんわんと感情を出すというのとは違うのかなと個人的には思います。



6.第三者に相談できる場所や当事者会(天使パパ・夫婦の会、死別経験者の会)等があれば相談・参加したいと思いますか?それは何故ですか?


私個人としては相談者としてあまり参加したいと思いませんが、このようにインタビュ ーだったり、経験を語るということには積極的にご協力したいと思います。 グリーフケアが世に広まってほしい、天使ママパパの悲しみを共有できるのであればしたいと思っているからです。

私自身、第三者への相談は特にしませんでした。心の根底に、妻や自分の状態は他の人にはわからないと言う考えがあります。他の人の正解を聞いても自分の正解ではない、自分で見つけるしかないと思うからです。相談しておいて結局自分の正解を見つけるのであれば申し訳ないといった気持ちがあり、あまり相談はしなかったです。




<働き方について・職場とのやり取り・周囲との関わりについて>


7.ご経験後、仕事をお休みされましたか。


ステイホーム期間でしたので、約1ヶ月は実質休暇のような状況でした。



8. ご経験後、働き方やモチベーションは変わりましたか?また働き方やキャリアに対して考え方が変わったことはありますか?その他、仕事に対して感じることを教えてください。


天使パパになったからという理由で仕事への心境は変わりませんでした。 

働き方やキャリアに対してですが、やはり家族が一番大切であると感じました。

仕事に対するモチベーションは変わりません。仕事は、やらなければいけないこと、生活のためにはしなければならないことなので。そこは引っかかりもせず仕事はできました。

働き方としては、フリーランスで働いているので、家族の時間を作ることを優先しました。以前よりも夜早く帰るようになり、子どもをお風呂に入れたり、ご飯を一緒に食べたりしています。より家族を大切にするようになり、家族と向き合うために仕事に向かっています。



9. ご経験について職場へはどのように伝えましたか?連絡や相談の仕方や連絡・相談後のやり取りについて、大変だったこと・ご自身で工夫したこと・改善してほしいことがあれば教えて下さい。


基本的に個人で動いているので、必要最低限の方々に事情を説明しました。大変だったことはありません。

周囲もどんな声がけをしていいかわからないと思うので、事実を淡々と報告しました。人によって感じ方も違うし、良い言葉も嫌な言葉もあまり受け止めすぎないようにさらっと流しながら過ごしていたように思います。何を言われてもあまり変わりないかな。すでに悲しいですし。

当時気になったことは、お客様と接する時のことです。「子供はどうなった?」「子供は何人いるの?」と聞かれた際には、何と答えていいかわかりませんでした。初めての人に境遇をどこまで話すものかがいつも気になっていました。



10. 入退院や役所手続きなどを男性が行うことが多いと思います。様々な手続きの際に大変だったことや困ったこと、改善して欲しいことなどがあれば教えてください。


改善してほしいことはありませんが、手続きの際に精神的に辛く感じました。



11. 今、振り返ってみて、こうしたのが良かった、こうすればよかった、当時のご自身に伝えたいことなどはありますか?


当時に戻れるのであれば、定期健診、陣痛促進剤の必要性、呼吸のこと、万が一のこと、 救急車の手配、院長の判断、すべてをもっと真剣に考えろと伝えたいです。



12. パートナーに伝えたいことはありますか?


あなたが生きていてくれて本当によかったです。



13. 同じ天使パパさん達に伝えたいメッセージがあればお願いします。


夫婦の状況、家族構成、仕事環境、全て違うと思いますが、過去を否定することなく、 過去を肯定する生き方をしていただきたいと思います。空に還った赤ちゃんは紛れもなく家族です。 天使パパの声が必要であればどんな形でも発信していきたいと考えています。特にこういったこと(新生児死)が現実としてあるということを伝えていきたいです。

このような自助グループのような繋がりは大事ですね。公に認知されるためには、団体のようなものが必要と感じています。やはり個人の力だけでは限界があるので。



14. iKizukuでは、ペリネイタルロスやグリーフ等に関する社会の認知不足から、必要な支援がされていない現状を改善したいと取り組んでいます。ペリネイタルロスを取り巻く環境について感じること(課題や改善案等)があれば教えて下さい。


経験をしない限り、理解はされないと考えます。したがって、教育や学びの現場でグリーフケアの講義を行い、社会人になり、生きていくうえで必要な知識として、伝えていくべきなのではないかと思っています。

出産も無事生まれるだけではなく、ペリネイタルロスというのがあると言うことを伝えるだけでもいいと思います。認知度は上がってきているので、どんな形であれ、みんなが知るきっかけを作ることが必要だと思います。

長男三男にも次男のことはしっかり伝えていきたいです。



15.その他、このインタビューを通して伝えたいことなどがあればお願いします。


私は天使パパとして、天使ママである妻の思いや活動を常に応援していきたいと思って います。そのために必要なことは何でも協力します。

iKizuku

働く天使ママコミュニティ【イキヅク】 ペリネイタルロス(赤ちゃんとのお別れ) を経験した働く女性 =「働く天使ママ」のサポートを通じて 思いやりの心が息づく社会をめざします

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